2011年 07月 28日
「魲万里絵展 縷々(るる)累々(るいるい)」@近江八幡NO-MA 是非行ってみて |
いろいろと関わっている近江八幡ボーダレス・アートミュージアムNO-MAでの展覧会です。魲さんの作品は、性的で暴力的なモチーフに焦点があたる中、僕個人的には彼女の色彩感覚と素材の重なり方の格好良さに惹かれてます。なかなかのボリュームのある個展で、遠方から来られてもきっと大いに何か得る、感じ取るものがあるはず。是非ともお越し下さいませ。
2011年6月18日(土)~8月21日(日)
「魲万里絵展 縷々(るる)累々(るいるい)、紙の上の私の風景」
会期:2011年6月18日(土)~8月21日(日)
休館日:月曜日
(ただし、月曜日が祝祭日の場合は翌日火曜日が休館)
開館時間:午前11時~午後5時
場所:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(旧野間邸)
観覧料:一般300円 高大生250円 中学生以下 無料
監修:保坂健二朗(東京国立近代美術館 研究員)
主催:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、社会福祉法人 滋賀県社会福祉事業団
後援:NPO法人はれたりくもったり
協力:近江八幡観光物産協会、特定非営利活動法人しみんふくし滋賀、八幡酒蔵工房
乳房、鋏、性器。魲万里絵(すずきまりえ)の作品を特徴づけるのは、そうしたモチーフと、それらの間を埋め尽くす反復的なパターンです。彼女の絵は、エロティックだったり暴力的だったりもしますが、どこかユーモアもあります。
魲は1979年長野県に生まれました。高校生時代に統合失調症を発症。その後通信制の高校を卒業し、現在は、地元の会社と地域活動支援センターに通っています。そしてその傍ら、絵を描き続けています。初めのころは、チラシやポスターにあるような挿絵風の絵だったようですが、2007年ごろから、今見られるような作品を描きはじめました。それは、時に社内報のために描くこともあったイラストとは異なり、純粋に自分自身のための作品でした。自分の心の中に蠢く世界と感情とを外に出すべく、マジックと紙というシンプルな材料を用いて描かれたのです。魲は、「描くと落ち着く」と言っています。
このような絵で落ち着くとは意外でしょうか? しかし、性的な事物への関心や、暴力への衝動といった気持ちは、実のところ、人間であれば誰しもがもっていると言えると思います。もちろん多くの人は、社会的な生活を営むために、その事実に蓋をします。あるいは、抑圧します。魲は、逆に、その事実を直視します。そして、ここからが面白いところです。彼女は、自分の心の中の世界を紙に描いていくわけですが、単に再現しているのではなくて、広がりのある不定形の世界を小さな四角い枠内に収めていくときに生じる反発力をうまく利用しているのです。力を凝縮させて、イメージに変換しているのです。
そうした彼女の作品は、国内のみならず、海外でも高い評価を受けています。2010年、パリ市立のアル・サン・ピエール美術館で日本のアール・ブリュット(生の美術)を紹介する大展覧会が開かれて好評を博したときにも、つねに話題の中心にありました。
このたび、近江八幡で開催される展覧会は、魲万里絵の世界を包括的な形で紹介する、日本で、いや世界で最初の展覧会になります。この機会に、ぜひ、魲万里絵が紙の上に繰り広げる「風景」の前に佇んでみてください。私たちひとりひとりのうちにも、実はこうした「風景」が広がっているのではないかと、ちょっと想像しながら。
保坂健二朗(東京国立近代美術館研究員、本展監修者)
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【関連イベント】
すべて要予約
TEL/FAX:0748-36-5018
メールフォーム:http://www.no-ma.jp/form/
○[ゲストトーク]
講演者:ジョン・メーゼル(RAW VISION編集長)
イギリスのアール・ブリュット専門誌「RAW VISION」よりジョン・メーゼル氏を招いてのトークイベントです。
※7月~8月にて調整しています。詳しい日程等は決まりしだいNO-MAのサイトにアップします。
○夕暮れ NO-MA de ギャラリートーク[※受付終了しました!]
講演者:魲万里絵(出展作家)
聞き手:田端一恵(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA)
日時:2011年8月5日(金)18:30~19:00
場所:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(旧野間邸)
参加費:無料
定員:20名(要予約)
当日は19:30まで特別開館いたします。日が暮れるにつれて刻々と変化する展示空間の中で、30分限定のギャラリートークを開催します。
2011年6月18日(土)~8月21日(日)
「魲万里絵展 縷々(るる)累々(るいるい)、紙の上の私の風景」
会期:2011年6月18日(土)~8月21日(日)
休館日:月曜日
(ただし、月曜日が祝祭日の場合は翌日火曜日が休館)
開館時間:午前11時~午後5時
場所:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(旧野間邸)
観覧料:一般300円 高大生250円 中学生以下 無料
監修:保坂健二朗(東京国立近代美術館 研究員)
主催:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、社会福祉法人 滋賀県社会福祉事業団
後援:NPO法人はれたりくもったり
協力:近江八幡観光物産協会、特定非営利活動法人しみんふくし滋賀、八幡酒蔵工房
乳房、鋏、性器。魲万里絵(すずきまりえ)の作品を特徴づけるのは、そうしたモチーフと、それらの間を埋め尽くす反復的なパターンです。彼女の絵は、エロティックだったり暴力的だったりもしますが、どこかユーモアもあります。
魲は1979年長野県に生まれました。高校生時代に統合失調症を発症。その後通信制の高校を卒業し、現在は、地元の会社と地域活動支援センターに通っています。そしてその傍ら、絵を描き続けています。初めのころは、チラシやポスターにあるような挿絵風の絵だったようですが、2007年ごろから、今見られるような作品を描きはじめました。それは、時に社内報のために描くこともあったイラストとは異なり、純粋に自分自身のための作品でした。自分の心の中に蠢く世界と感情とを外に出すべく、マジックと紙というシンプルな材料を用いて描かれたのです。魲は、「描くと落ち着く」と言っています。
このような絵で落ち着くとは意外でしょうか? しかし、性的な事物への関心や、暴力への衝動といった気持ちは、実のところ、人間であれば誰しもがもっていると言えると思います。もちろん多くの人は、社会的な生活を営むために、その事実に蓋をします。あるいは、抑圧します。魲は、逆に、その事実を直視します。そして、ここからが面白いところです。彼女は、自分の心の中の世界を紙に描いていくわけですが、単に再現しているのではなくて、広がりのある不定形の世界を小さな四角い枠内に収めていくときに生じる反発力をうまく利用しているのです。力を凝縮させて、イメージに変換しているのです。
そうした彼女の作品は、国内のみならず、海外でも高い評価を受けています。2010年、パリ市立のアル・サン・ピエール美術館で日本のアール・ブリュット(生の美術)を紹介する大展覧会が開かれて好評を博したときにも、つねに話題の中心にありました。
このたび、近江八幡で開催される展覧会は、魲万里絵の世界を包括的な形で紹介する、日本で、いや世界で最初の展覧会になります。この機会に、ぜひ、魲万里絵が紙の上に繰り広げる「風景」の前に佇んでみてください。私たちひとりひとりのうちにも、実はこうした「風景」が広がっているのではないかと、ちょっと想像しながら。
保坂健二朗(東京国立近代美術館研究員、本展監修者)
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【関連イベント】
すべて要予約
TEL/FAX:0748-36-5018
メールフォーム:http://www.no-ma.jp/form/
○[ゲストトーク]
講演者:ジョン・メーゼル(RAW VISION編集長)
イギリスのアール・ブリュット専門誌「RAW VISION」よりジョン・メーゼル氏を招いてのトークイベントです。
※7月~8月にて調整しています。詳しい日程等は決まりしだいNO-MAのサイトにアップします。
○夕暮れ NO-MA de ギャラリートーク[※受付終了しました!]
講演者:魲万里絵(出展作家)
聞き手:田端一恵(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA)
日時:2011年8月5日(金)18:30~19:00
場所:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(旧野間邸)
参加費:無料
定員:20名(要予約)
当日は19:30まで特別開館いたします。日が暮れるにつれて刻々と変化する展示空間の中で、30分限定のギャラリートークを開催します。
by yamatogawarecord
| 2011-07-28 10:57